NAIANI6月号コラム 遺言とは?遺言書を作成した方がいい方とは?(その1)

今月号は、遺言について説明します。

 

1 遺言とは?

法律の専門家は“いごん”と読みますが、一般的には“ゆいごん”と読みま

す。自分が死亡した後、残った財産(不動産、現金・預貯金等)をどのように

処分してほしいかという自分の希望を記載する書面です。遺言は民法という

法律で規定されており、記載しなければならないことを書いていない場合、無

効となることがあります。民法にはいろいろな遺言の種類が規定されており

ますが、通常利用するのは、①公証役場で作成する公正証書遺言、②自分で書

いて自宅で保管する自筆証書遺言、③令和2年に始まった自筆証書遺言を法

務局が保管する自筆証書遺言保管制度の3つであると思います。

 

2 遺言書を作成したほうがよい方とは?

遺言は、自分が亡くなった後、それを相続等で引継ぐ方々が困らないように

する側面と、遺言をする人(「遺言者」といいます。)の希望「このように引継

いでほしい」の側面があります。

引継ぐ方々が困らないようにするための遺言としては、

(1)相続人が多い。

例えば、遺言者が結婚しておらず、配偶者も子どももいない場合、その遺

産はおおよそ遺言者の兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が遺言者よ

り先に死亡していると甥姪が相続人となります。残された相続人は、相続人

の数が多く、会ったこともない方々と遺産分割協議を行うことになります。

まとめるのが大変だということはお分かりになられると思います。

(2)相続人同士の仲がよくない。

例えば、自分の子どもである長男と二男の仲が悪い場合、遺産分割協議で

長男と二男が揉めるのは目に見えてますよね。あらかじめ、遺言者が長男と

二男と話し合い、二人の要望を遺言書として残してあげれば、遺言者の死後、

遺言書に従って、相続揉めしないかもしれません。

(3)推定相続人の中に認知症で判断能力のない方がいる。

遺産分割協議書は相続人全員で行わないと効力が生じません。相続人の

中に判断能力がない方がいると、現在の法律ではその方に成年後見人を付

けるか、その方が亡くなるまで待つしかありません。そこで、遺言書を残し

ておけば、遺産分割協議を行う必要はありませんので、その遺言書に書かれ

た内容で相続等ができます。

(4)推定相続人の中に行方不明の方がいる。

上記のとおり、遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりません。そ

の中に行方不明者がいる場合、家庭裁判所に対して管理人を選任してもら

う必要があります。その管理人の報酬は30万円は下りません。そこで、遺

言書を残しておくと、遺産分割協議する必要がないのは上記に書いたとお

りです。

 

来月号はこの続きを書きます。