2021-05-18 民法等の一部を改正する法律等の成立を受けて(会長声明)
民法等の一部を改正する法律等の成立を受けて(会長声明)
~相続登記の義務付けに向けた司法書士の役割~
熊本県司法書士会
会長 村山 鉄次
令和3年4月21日、民法等の一部を改正する法律及び相続等により取得した土地所有権の国庫
への帰属に関する法律が成立しました。
所有者不明土地問題が国土の公共的活用等に関連する喫緊の課題となっているところ、これらの
法律の成立によって、その予防及び解消に関する民事基本法制が概ね整備されたことになります。
今般の法律改正によって、所有権の登記名義人につき相続が発生した場合、原則として、相続人
には、3年以内に相続の登記を申請しなければならないという義務が課せられます。期限内に
相続の登記を申請するには、出生から死亡までの戸籍事項証明書等の取得を始めとした様々な
前提事務処理を行わなければならず、国民にとって、負担になることが想定されます。そのため、
国民の負担を軽減するべく、これまで以上に相続登記をはじめとした遺産承継手続等の支援を
充実させる必要が生じています。
全国の司法書士会で組織する日本司法書士会連合会では、国民にとって過度な負担とならないよう、
より簡易な手続で相続の登記の申請義務を履行したとみなされる等の制度を設けることを提言して
きました。
今般の改正では、この提言に沿う形で、新たに「相続人申告登記」が創設され、制度上の国民の
負担を最小限に留めることができました。相続人申告登記は、確定的な権利の登記申請につなげる
ための過渡的な手続、相続発生の事実及び相続人の一部を公示する役割として位置付けられます。
もっとも、所有者不明土地の発生防止の観点からすれば、できる限り遺産分割協議を経た上で、
確定的に権利を取得した相続人の名義とする登記の申請を行うべきです。司法書士としては、
これまで、既に存在する所有者不明土地の相続人調査業務に関与するとともに、新たな所有者不明
土地の発生を未然に防ぐためにも、積極的に相続登記手続に関与してきたところです。
当会においては、平成28年2月より、相続登記及び遺産承継手続等の専用の相談窓口として、
「熊本県司法書士会相続センター(以下「相続センター」という。)」(連絡先電話番号096‐372‐
2525)を設置しています。相続センターでは、平成28年熊本地震後の相続登記等に関する相談
支援を行うとともに、ここ数年では、年間270件を超える相続手続の相談を受けて参りました。
また、本年3月1日からは、全国の司法書士会と連携して相続相談に応じる全国統一の受付フリー
ダイヤル(0120-13-7832<いさんのなやみに>)も設置しています。
今般の法改正に伴い、上記のとおり相談窓口を充実しておりますので、相続登記、遺産承継手続
及び登記全般に関する相談について、市民が気軽に相談できる窓口としてぜひご活用ください。
相続登記の申請の義務化をはじめ、相続によって承継した土地所有権の国庫帰属制度や、所有者
不明土地管理人に代表される各種の財産管理人制度等、国民生活に与える影響が大きい事項に
ついて、当会は市民に対してきめ細やかにサポートを実施していきます。
司法書士は、「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家」として、多くの相続事件に関与し
ています。今後も、身近なくらしの中の法律家として、改正法にいち早く対応し、これまで以上に
国民の権利擁護に資する所存です。
投稿者プロフィール
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熊本県八代郡市、宇城市を中心に、相続の手続きや不動産登記、会社設立、遺言書の作成サポートをはじめ、借金問題などの債務整理、近年需要が益々増えてきている成年後見などをサポートしております。 困ったことがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
詳しいプロフィールはこちら→https://kawaguchi-office.org/profile/
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