NAINAI1月号 コラム デジタル遺品(その1)

近年、高齢者の方のスマートフォン(以下「スマホ」といいます。)利用率が急激に上がってます。以下、年代別のスマホ利用率の推移です。

  2016年 2018年 2020年 2021年
60歳~69歳 33.4% 56.2% 67.4% 79.3%
70歳~79歳 13.1% 27.2% 38.3% 53.1%
80歳以上 3.3% 7.8% 11.0%  19.2%

*総務省 通信利用動向調査 「年齢階級別モバイル端末の保有状況」より

 

これは3Gの携帯電話サービスの終了(auはサービス終了、ソフトバンクは2024年1月、ドコモは2026年3月に終了予定)により、各携帯電話会社が利用者に対し、積極的にスマホに変更するように広告・営業していることが要因と思われます。今後、高齢者のほとんどがスマホを利用する日が近いと思われます。

また、各世代に「破損・紛失した際に困るもの」として調査したところ(モバイル社会研究所、2022年2月実施)、10代から60代までがスマホを一番にあげました。身分証(免許証、保険証等)、家の鍵、クレジットカードを紛失するよりも、スマホが紛失等することが困ると回答したのです。総務省はマイナンバーカードの機能をスマホに搭載する検討をしておりますし、将来的には健康保険証の機能もスマホに搭載されるでしょうから、私たちの生活において、スマホの重要性が増すことは間違いありません。

 

ところで、「デジタル遺品」って聞かれたことがありますか?人が亡くなりますと、その人が所有していた物、不動産、貴金属、お茶碗等、すべて亡くなった方の相続人に承継されます。よって、亡くなった方がデジタル上、例えばスマホの中で持っている情報(画像等)も遺品になり、これが「デジタル遺品」です。

デジタル遺品に厳密な定義はありません。上記のとおり、近年、高齢者の方のスマホ利用率が急激に上がってます。そこで問題となるのが、「デジタル遺品」です。しかしながら、現在、高齢者の方が行われている終活において、デジタル遺品をきちんと整理しておかないと、相続人が困るということを考えている方は少数派であると思われます。

しかし、上記の理由から人が亡くなったときに、デジタル遺品が登場してくる場面が急増することは間違いありません。

読者のみなさん、デジタル遺品について、次のことを確認してください。

□ 故人はデジタル製品を使っていた。

□ 故人はあまりデジタル製品を使っていなかった。

□ 故人所有のスマホがあり、そのロック解除ができる。

□ 故人所有のスマホがあるが、そのロックが解除できない。

□ 故人所有のパソコンがあり、そのロックが解除できる。

□ 故人所有のパソコンがあるが、そのロックが解除できない。

□ 遺品整理をする方が、デジタル製品を使いこなすことができる。

□ 遺品整理をする方が、あまりデジタル製品を使いこなせない。

 

相続の場合において、どのようなデジタル遺品の問題が発生するのかを次号から説明したいと思います。

投稿者プロフィール

川口邦則
川口邦則
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