NAINAI5月号(デジタル遺品その5)

今月号は、LINEアカウントはなぜ相続できないのか?について説明します。

 

1 LINEアカウントは一身専属権であるから。

LINE利用規約4.6には「本サービスのアカウントは、お客様に一身

専属的に帰属します。お客様の本サービスにおけるすべての利用権は、第三

者に譲渡、貸与その他の処分または相続させることはできません。」とあり

ます。この「一身専属権」とは何なのでしょうか?原則として、法律上、亡

くなった方の権利義務はその相続人に対し、包括して相続されます。ですか

ら、現金預貯金、不動産、借金等は相続されます。しかし、「一身専属権」

に該当するものは相続されません。例えば、故人が飛行機の操縦免許証を持

っていたとして、原則に従うと、その免許もその相続人が相続しますから、

免許を持っていない相続人が飛行機の操縦ができることになってしまいま

す。それではおかしいですよね。そこで、LINEでは規約でそのアカウン

トを一身専属権にして、相続されないようにしているのです。

 

2 LINEはコミュニケーションツールであるから。

LINEは使用する人の友達等とチャット形式にて連絡を取り合う連絡

手段です。これが相続されるとすると、連絡していた故人の相続人と連絡を

取り合うことになります。故人の相続人とLINEで連絡を取りたいので

あれば、その相続人と友だち登録をすればよい話で、故人のアカウントを相

続させる必要はないと考えているわけです。

ところで、同じコミュニケーションツールであるfacebookはどうでしょ

うか?facebookでは、その利用者が死亡したことが判明すると、LINE

のトーク機能と同様のサービスであるメッセンジャー機能は停止されます。

一方、facebookのメインの機能はその相続人からの届け出によって、一部

機能を制限した「追悼アカウント」として残すことができます。この「追悼

アカウント」は最初からfacebookのサービスとして行われていたものでは

ありません。利用者からの要請で始まったものです。ですから、LINEア

カウントは現在、一身専属権で相続できませんが、今後、利用者からの要請

によって相続できるものになる可能性はあります。

 

3 だから、「怪現象」が起こる。

LINEアカウントが一身専属権で相続できないことから、先月号で掲

載したように、LINEアカウントは電話番号に紐付けされているため、数

か月後、故人と同じ電話番号を取得した他人がLINEVOOMに投稿す

ると、故人と友だち登録されていた方のLINEでは、死亡した方のお名前

でLINEVOOMが投稿されたように表示されるのです。

 

4 LINEとは上記を踏まえて向き合いましょう!

上記のようにLINEアカウントは一身専属権ですので、利用者の死後

は使用してはいけないのが原則ですが、利用者が死亡し、LINEで故人の

友だち登録がある方に対し、故人のアカウントを使用してトーク機能で訃

報連絡することは、お目こぼしされているようです。ただし、LINEアカ

ウントは一身専属権ですので、故人の電話番号を承継して、LINEアカウ

ントを使用し続けることは規約違反となりますので、継続使用は控えたほ

う無難です。故人のLINEアカウントでの思い出のやりとりはスクリー

ンショットで残しましょう。

投稿者プロフィール

川口邦則
川口邦則
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