NAINAI4月号 デジタル遺品(その4)
先月号に続き、デジタル遺品に関する都市伝説について考えたいと思います。
デジタル遺品について、次の事案が発生することがあると思いますか?
4 ロックがかかったスマホは国軍やFBIであっても開けない。
5 死後のデジタル遺品調査で、海外口座や浮気データが見つかり、遺族が凍
り付いた。
6 故人のLINEが突然、別人のものに切り替わることもある。
順番にみていきたいと思います。
4 これは○です。
2015年に米国カリフォルニア州で銃乱射事件が起きました。容疑者
の一人が使用していたiPhoneのロック解除について、FBIはAp
ple社に対し、ロック解除に協力するよう依頼しましたが、プライバシー
保護を理由としてApple社がこれを拒否したため、両者で激しい論戦
がありました。すなわち、FBIは独自でiPhoneのロックを解除でき
なかったのです。問題となったiphoneは5Cですから、現在の最新版
である14はさらにセキュリティが厳しくなっているのは間違いないでし
ょう。ネットではiphoneのロック解除業者がいますが、費用は高額で
すし、その期間は1年を超えることもザラらしいですし、必ず解除できると
は限りません。そもそもスマホは本人以外の第三者が使用することを想定
していないものだからです。
5 これは○です。みなさま気を付けましょう(笑)
2018年7月にテレビ朝日系で「dele」というドラマが放送されま
した。依頼者が生前に登録すると、依頼者の死後、パソコンやスマホに残る
依頼者のデータを削除してくれる業者の話です。これはテレビの話ですの
で、実際に依頼者のスマホ内のデータを削除するには、そのスマホ本体から
データを削除することになります。三井住友信託が2019年から始めた
「おひとりさま信託」では、契約者が依頼すれば、契約者の死亡後、スマホ
内のデータの削除をするというサービスがあります。しかし、よく考えてく
ださい。あなたが遺族だとして、赤の他人がスマホのデータを削除すると言
ってきて、亡くなった方のスマホ本体を「はいはい」と差し出しますか?
スマホ本体は相続財産ですし、その内部にあるデータも相続財産です。価値
の画像等があるやも知れません。画像を削除するには相続人全員の同意が
必要となるはずです。データ削除業者としては、なかなか難しい作業になる
でしょう。
一方、残す側は、自分の遺族がスマホ内のデータを見たときに、ビック
リするようなデータはそもそも保存しないことが大切ではないでしょうか。
私も気を付けます(笑)。
6 これは○です。
日本人でスマホを利用されている方のLINE利用率は高いです。LIN
Eは電話番号と紐付けられています。よって、LINEを使用していた方が死
亡、もしくは長期海外出張となってスマホの通信契約を解除すると、その電話
番号は早くて3か月ほどで他の方が使用できるようになります。スマホ通信
契約を解除した方をAさん、新たにその電話番号を取得した方をBさんとす
ると、Aさんと友だち登録していたCさんのスマホでは、Aさんの電話番号が
Bさんに移行された後、BさんがLINE VOOM投稿すると、友だち登録
していないBさんの投稿が見れます。また、トーク履歴もAさんの名前からB
さんに変更され、その写真等はBさんが登録した写真等に変更になります。別
段問題はないですが、友だち登録していたAさんが電話番号を変更等したこ
とが明らかであれば、Aさんを友だち登録から削除するのがよいのではない
でしょうか。Aさんとのトーク履歴を残したいというのであれば、スクリーン
ショットをして画像として残しましょう。
友達でもないBさんが表示されるのは、気持ちが悪いですもんね。
投稿者プロフィール
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